街の復興に自分の仕事が役立っていることに感謝したい。

星さんのお店は現在、仮設商店街の店舗に入居している。しかし、ここへの入居は現段階では２年間という期限がある。「このあと、前と同じ場所でリニューアルできたらベストなんですけどね。だけどなにせ歳なもので、今から働いて建て直すほどの力もないと思うし、今後のことは五里霧中、という感じだね。いろんな支援も、今はあるけど、今後はどうなるのか、わからないし、それが不安ですよね」

街の復旧作業が本格化してきてからは、仕事も忙しくなってきた。得意先が市役所や官庁関係が多いので、特に年度末は一番の繁忙期になるという。「うちの場合はね、職種をひとつにくくれないんですよ。小売業、卸し業、電気修理修繕、工事業、全て当てはまる。今は、個人のお客さんていうのはそんなに多くなくて、どうしても官庁関係などのインフラのお手伝いが多いですね。ポンプが止まったら、直しにいったり。見えないところのお手伝いをしてるんです。だから一口に電気屋さんで片付けられないくらい特殊な店なんですよ」

ただ、さまざまな仕事をしていることで逆にありがたいと感じると星さんは話す。「人からありがとうって感謝されることって、すごくうれしいですよね。それが、普通の仕事をしているだけで、ありがとうって言われる。人の役に立てる技術を持ったことに、素直に感謝しています。普通の商売が人助けになる、ということはすごく嬉しいことですよね」。

生きることに意欲的な人が増えてきた塩竈もまだまだ捨てたもんじゃないですよ。

さらに、星さんは塩竈の１年を振り返りながら、街の将来について言葉を進めはじめる。「基本的に〝こうしてほしい〟と思う人たちと、〝こうしていくんだ、こうなりたい〟と考える人とに大別化していくと思うんです。自分がどっちなのか、客観的に見るのは難しいので言及はしませんが、〝ほしい、ほしい〟で国に要求したり、俺が生活できないからとにかく補助してくれ、という人だけの街というのは、果たして住みやすいと言えるのだろうかって考えてしまう。みんなで力を合わせて、コツコツと工夫して、少しずつ積み重ねていくような街が一番住んでいて楽しいと思いますよ。「おいしいものがあったらみんなで分けて食べよう」とか「人に食べさしてあげたい」とか、気持ちが通う街が、いいですね。だからそういう気持ちの人が増えてくれることを、祈りますね。

今は、もらうのが当たり前みたいな方が若干いらっしゃるみたいですね。被害者なんだから、もらうのが当たり前だと思っている。しかし、だんだん仮設住宅で暮らしながらも、なにかできることないかな、って考える人が多くなってきた。それはすばらしいことですね。だから、塩竈もまだまだ捨てたもんじゃないなと感じます。