「つながる湾プロジェクト」は、自分たちのルーツをもう一度探ってみようと、私たちを育んできた海の文化を知り、味わい、共有し、表現するための活動です。海からの視点は、陸での発想とは異なる新しい連携を生み出し、地域力を高めます。この湾に生きるかっこよさを、海に囲まれた日本に生きるかっこよさを、きっと発見できるのではないかと思っています。

海の文化でつながっていた

つながる湾塩竈が面する塩竈湾(千賀ノ浦)は、北側に拡がる松島湾(狭義)とともに、ひとつの湾(広義での松島湾)を形成しています。湾岸の地域は、今は東松島市、松島町、利府町、塩竈市、多賀城市、七ヶ浜町に分かれていますが、もとは、同じひとつの大きな湾に面する地域なのです。

かつては、湾に面した地域どうしはお互いの海の産物などを交換し、行き来が盛んだったといいます。また藩政時代には、伊達藩の年貢米を石巻港や浦戸諸島の寒風沢港から船で江戸へ運んでいました。さらに三陸海岸まで視野を拡げると、宮城・岩手の内陸部では南北に山地が伸び、東西の行き来を阻んでいたため、沿岸部に鉄道網が整備される昭和初期までは、塩竈港を拠点とした海運が輸送の中心だったようです。塩竈と太平洋沿岸部の各地域は、海の文化でつながっていたのです。

海のそばで生き、海に育まれてきた

つながる湾そしてこの三陸沖では、黒潮と親潮が混じり合い、古来から沿岸部に豊かな海産資源をもたらしてくれています。塩竈・松島湾の水は、日本で一番最初の製塩を生み出しました。またこの湾には、全国に誇れる牡蠣や海苔が棲んでいます。島々がつくり出す風景は日本三景として称えられ、地域の、日本の財産となっています。

2011年3月、海は私たちから多くのものを奪い去りました。しかし私たちが海のそばで生き、海に育まれてきたこともまた、変わらない事実です。これからを生きていくために、私たちは、私たちの地域を育んできた海の文化をもう一度、見つめ直さなければいけないのかもしれません。

海からの視点と新しい連携で地域力を高める

つながる湾2013年、私たちは、自分たちのルーツをもう一度探ってみようと、「つながる湾プロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトは、私たちが自らを育んできた海の文化を知り、味わい、共有し、表現するさまざまなプログラムで構成されています。

海からの視点は、陸での発想とは異なる新しい連携を生み、地域力を高める。この場合の「連携」とは、統合や平等という意味ではなく、それぞれの地域の歴史・文化を尊重し合い、認め合った上で、未来への同じベクトルを持つこと。この湾に生きるかっこよさを、海に囲まれた日本に生きるかっこよさを、きっと発見できるのではないかと思っています。

浦戸諸島でつながる湾

豊富な漁業資源や景観など、土地のアイデンティティを活かしながら未来を描いていこうと、宮城県の海の玄関口と発展し、江戸へ食糧や物資を運ぶとともに三陸の交通の要ともなった塩釜港周辺を中心に、湾内の文化を繋ぎます。

活動地域
宮城県塩釜市市街地、浦戸諸島、塩釜・松島湾域各地、宮城県北部沿岸地域ほか

チームwan勉強会

2013年6月~9月

チームwan勉強会
塩釜湾エリアで地域の財産を認識し育てるコミュニティを発足させるべく活動している「一般社団法人チガノウラカゼコミュニティ」を中心に、湾の文化、海の文化、浦戸諸島の文化を学ぶ勉強会・交流会を週1回を基本として開催します。

浦戸諸島でつながる湾

環海異聞

  • 環海異聞
    環海異聞
    環海異聞
    環海異聞

  • 日本で最初に世界一周してしまった津太夫・左平
  • 開催日:2013年7月25日
  • 講 師:綿晋さん(NPOみなとしほがま)
  • 1793年江戸向けの仙台藩米と材木を積んだ千石船・若宮丸が石巻港を出航した。乗組員16人の中には、寒風沢島の津太夫・左太夫・銀三郎・民之助・左平、石浜の辰蔵などがいた。若宮丸は塩屋崎(福島県いわき市)にて悪天候に遭い漂流、翌年アリューシャン列島に漂着。7年シベリアに滞在、その後、ロシア・ペラルブルグにて皇帝アレクサンドル一世に、津太夫・左平・儀平衛・多十郎の4名が帰国を希望し、4人はロシア初の世界一周就航船ナジェージダ号にて長崎に入港した。石巻を出てから13年ぶりに帰郷。彼らの苦難に満ちた長期の漂流体験や異国体験を、蘭学者・大槻玄沢らが聞き取りにより『環海異聞』にまとめた。
    勉強会では、『環海異聞』などの資料を拝見し、彼らの苦悩を想像しながら、貴重な海外情報を鎖国時代の日本に持ち帰ってきた同郷の津太夫と左平の偉業を讃えた。

三陸汽船

  • 三陸汽船
    三陸汽船
    三陸汽船
    三陸汽船

  • 開催日:2013年6月27日
  • 講 師:大和田庄治さん(NPOみなとしほがま)
  • 1世紀ほど前、塩竈~宮古で運航されていた「三陸汽船」。当時は 沿岸部の足として活躍し、三陸汽船の立ち上げには塩竈の多くの財界人が投資をし、民間の力でインフラを牽引していった。沿岸のみならず、東京、北海道と定期航路を開き、東北の交通、経済、文化、そして塩釜港の発展に大きな貢献した地元資本会社「三陸汽船株式会社」について、勉強会では、冊子『三陸汽船〜東北地方の交通・経済発展に大きく貢献した地元資本会社〜』をもとに振り返る。

仙台白菜

  • 仙台白菜
    仙台白菜
    仙台白菜

  • 「浦戸は白菜のふるさと」
  • 開催日:2013年8月16日 
  • 講 師:髙橋信壮さん
        (リエゾンキッチン、私立明成高等学校教諭)
  • 中国から持ち帰った白菜の種は日本の風土にあわず、日本固有の種を作る必要があった。蜂が飛ばず、交配しにくい浦戸でその開発がなされ「松島2号」という仙台白菜を開発することに成功。津波被害で種取りが消滅しようとするなか、種が無くなることに食文化の危機を感じた髙橋さんは、白菜畑の風景を見たであろう宮沢賢治の気持ちや、種開発者の想いなどをくみ取り、次世代を中心に興味をもってもらいながら文化を継承する活動に取り組む。勉強会では、白菜のふるさと・浦戸諸島の歩みと高橋さんの取り組みを重ね、白菜の物語を辿る。

語り継ぎのためのリーディング

2013年9月~2014年3月

語り継ぎのためのリーディング
歌い継いだり、語り継いだりして、
口から口へと、人から人へと 伝えていく

昔の人々の信仰心や生活感情、先人の知恵や偉業を後世に伝える言い伝え。この地域に暮らす人々や、記憶や物語を伝える術を持つ人などがSTORYTELLER(口承者)になり、この土地の物語や、先人達の知恵を語り継ぎます
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浦戸諸島の小学校・中学校にて、総合学習の一環として2004年から演劇活動「ACT」という取り組みが行われています。これは、地元演劇団体の協力のもと、オリジナル脚本で描かれ、仙台白菜や若宮丸・津太夫など浦戸諸島独自の歴史や民話、風土などを盛り込み、児童生徒や島民の島への誇りを育み続けています。

演劇の題材には、文献資料として十分ではない島の説話があり、近代になり、仙台白菜や鎖国による時代背景から語られなかった津太夫(つだゆう)・左平の話など、改めて注目されています。このような島の題材を物語化することで、この地域の歩みを思い描きやすくし、次世代への地域の関心を生み出しながら、伝承活動の広がりを創出することに取り組みます。

種は船でつながる湾

種は船プロジェクトとは?

種は船でつながる湾マップ
【マップを見る】

アーティスト・日比野克彦の監修により2007年から始まった「朝顔の種の形をした船」をつくる市民参加型のアート・プロジェクト。朝顔の種の形がまるで船のようだという発想と、古代より人類が文化や文物を船に乗せて伝えて来たように、朝顔の種そのものが船となり、土地の記憶を乗せて移動し、地域と地域、人と人との交流が生まれたことを乗り物に例えたところから始まりました。2010年より三ケ年計画で、自走するFRP船「TANeFUNe」を市民の手によって造船し、2012年に舞鶴から新潟までの約970kmの距離を35の港に寄りながら81日間かけて航海。2013年夏には、宮城県塩竈市・浦戸諸島に滞在し、島同士や島と本島を繋ぎながらワークショップを実施しました。

TANeFUNe(たねふね)

2013年6月~9月

たねふね

舞鶴~新潟の記憶の上に、塩釜・松島港の文脈を背負った<TANeFUNe(たねふね)>が、三陸海岸の他の湾へも赴き、湾の文化、水辺の文化の共有を試みるプログラムも展開。住民の地域への誇りを育み、新たな地域のつながりを生み、長期的な復興における文化的な足がかりとすることを目指します。

TANeFUNeで浦戸諸島近海および塩釜・松島湾内を訪問。それぞれの地域の人を乗せて航海し、交流を深め、話を聴き、ワークショップでともに作品を作ったり写真を撮り、また、地域内での文化活動やお祭りに参加・取材し、他地域へ伝える材料を収集します。

たねふねカフェ

たねふねカフェ

2013年6月~9月

たねふねカフェ
たねふねカフェ
たねふねカフェ
たねふねカフェ
たねふねカフェ
たねふねカフェ
たねふねカフェ
たねふねカフェ

2013年8月10日(土)〜31日(土)の間、TANeFUNeが浦戸諸島4島5地区を巡回し、島民の方の気軽な「おちゃっこ」の場として、移動カフェを開設。 船長・喜多直人が美味しい飲み物を無料にて提供するほか、TANeFUNeが運んでいる「海にまつわるエピソード」「TANeFUNeと出会った人の記憶」を提供します。

プロフィール

  • 喜多直人
  • 石川県金沢市出身・在住の写真家。「土地と人間の同居」をテーマに、誰かにとっては日常、誰かにとっては非日常を記録する。夜行的習性を通し、非日常を暗闇に求める人間との同居から日常を感じ考察している。TANeFUNe船長として2013年6月-9月にかけて、宮城県塩竈市に滞在しながら、浦戸諸島でTANeFUNeカフェや宝ものづくりのワークショップを行う。

そらあみ

2013年8月

そらあみ
そらあみ
そらあみ
そらあみ
そらあみ
そらあみ
そらあみ
そらあみ
そらあみ
そらあみ
そらあみ
そらあみ
そらあみ

アーティスト五十嵐靖晃と塩竈・浦戸諸島のみなさんによる共同制作。8月中旬から約二週間をかけ、漁網を編む方法でカラフルな糸を使い編み上げました。網を編むという古来から水辺で営まれてきた行為を通じて、参加者同士交流を図りながら、またみんなで編んだ漁網が空に向かって立ち上がる風景を一時的に出現させ、見慣れた風景をもう一度見直してもらう契機を生んでいます。完成した「そらあみ」は、TANeFUNeにかける「種衣」として次の航海へTANeFUNeと共に旅立ちます。

プロフィール

  • 五十嵐靖晃
  • アーティスト。東京藝術大学大学院院修了。土地に住み、そこで出会う人達と共に、普段の生活の中に新たな視点と人の繋がりをつくる試みをしている。代表作は、福岡県太宰府天満宮との協働プロジェクト「くすかき」、住民たちとともに新たな風景をつくり上げる「いろほし」「そらあみ」など。2010年から舞鶴で「種は船」ワークショップ・リーダーを務め、2012年にはTANeFUNe船長として舞鶴から新潟までの970kmを航海した。2013年8月には浦戸諸島にて「そらあみ」を実施。

  • つながる湾フォーラム チラシ
  • チラシを見る

  • 主催:ビルドフル—ガス+一般社団法人チガノウラカゼコミュニティ、一般社団法人torindo、えずこ芸術のまち創造実行委員会
       東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)
  • 共催:塩竈市、塩竈市教育委員会
  • 助成:公益財団法人日本財団
  • 協力:ヒビノスペシャル、チームwan