大正7年創業の「梅花堂」は、94年間変わらぬ味を守り続けている老舗の菓子店。創業当時からある『志ほがま』『塩万寿』、そして代を変える度に新しい味づくりにも積極的だ。その歴史の中に脈々と息づいているのが“素材・原料にこだわること”それは、現在の3代目にもしっかりと根付いている。
待ち続けているお客様のために
創業から変わらぬ味の『志ほがま』そして『塩万寿』。上質なお米と和三盆糖を使った上品な味わいは、年代を問わず親しまれている。東日本大震災で工場は被災したが、本町店を7月18日に再開した。「その時は、ロングセラーの『太平洋』と『藻なかさぶれ』など日持ちするタイプの焼き菓子しかなかったのですが、お客様からは“食べられなくなったらどうしようと思っていた”とおっしゃっていただいて、とても感動しました。でも、工場に機械が入らないためなかなか商品が思うようにつくれず、かえってご迷惑をおかけしたりしてしまっている状況です」と梅花堂・販売員齋藤さんは語る。
現在、営業しているのは本町店と仙台市泉区にある桂店の2店舗。桂店は息子夫婦がお店を任されており、店の奥に小さい工場もあるので、今はそこで菓子製造を行なっている。
「震災前は仙台駅にもお店があったのですが、商品の量産が多くでない為、一時休ませていただいております。その為に塩竈まで梅花堂の商品を買いに来てくださるお客様が多いですね」
多彩で個性的な味のラインナップ
こんなにもお客さんに愛されている梅花堂のラインアップはというと「創業からの『志ほがま』とそれにあんこを入れた『塩万寿』は、塩竈を代表する銘菓だけに当店にとっても大切な商品です。上質なお米と、和三盆糖を使ってしっとり感を出し、さらに紫蘇を入れて香り豊かで上品な味に仕上げています」さらに、丹精を込める菓子職人の心と技が生み出した菓子をいくつも生み出している。「副社長が考案した『伊達やき』は、生地が通常のどら焼きよりも、もっちりしています。中の餡には北海道から特別に取り寄せたあんこを使っているのが特徴で、どら焼きより1ランク上を目指したものです。
また、『藻なかさぶれ』は、ちょっとびっくりする食感だと思います。モナカの皮の上に生地をひいて焼き上げているので、すごく軽い感じがします。生地にこの辺りでで採れるギバサという海藻を練りこんであるので後味がもいいですよ」また、最近のヒットは、『ずんだロール』。「これは山形産の本物のずんだを使用しているので、香りがすごくいい。問い合わせも多い商品です」
満足することない味の追求
また、梅花堂のロングセラー商品『太平洋』は、先代が若い頃に、東京の洋菓子店で修行し、そこでヒントを得て考案したもの。焼きあげた後、ラムシロップに浸けて仕上げる100%のバタークッキーだ。「ラム酒だけではなく、シロップの配合に工夫を凝らしているんです。その配合が難しいんです。さらに、完全にしみ込んでしまうようなシロップではなく、表側に残るようなものになっています。昔はもっと甘さを出していたのですが、少しずつ改良を加え甘さをちょっぴり抑えています。
多彩な商品それぞれに梅花堂のこだわりが見える。原料、製法すべてに対して妥協を許さない味を追求すること、それが今でも遠くからお客さんを集めるほどの魅力になっているのだろう。
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- 梅花堂外観
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- 梅花堂店内
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- 季節の和菓子もございます
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- 志ほがま
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- 伊達やき
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- ずんだロール
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- 鹽万寿
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- ロングセラー「太平洋」
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- 食感がユニークな「藻なかさぶれ」
SHOP INFO.
- 本町店
- 住所:塩釜市本町2-5
- 電話:022-366-1173
- 営業時間:9:30~19:00
- 定休日:無休
- 泉パークタウン桂店
- 住所:仙台市泉区桂3-2-8
- 電話:022-371-7441
- 営業時間:9:30~18:30
- 定休日:第3月曜日
Text:落合次郎 Photo:大江玲司 取材日:2012年1月16日