今から220年前に日本人ではじめて世界一周を果たした 塩竈・浦戸の人たちが居ました。死にもの狂いで世界を旅した男たちの物語を、様々なアーティストが各々の方法で語り継いでいくワークショップに参加した青谷明日香さんに、その思いと塩竈の印象について伺った。
人を惹きつける魅力がある街。それが私の塩竈への第一印象
「私が最初に塩竈を知ったのは、小学校の修学旅行でした。その時は、松島から船に乗って塩竈で降りただけ。それが、私の塩竈とのファーストコンタクトでした」と青谷明日香さん。
秋田県出身のミュージシャンで、ピアノの弾き語りを中心に全国でライブ活動を行っている。2013年10月に、ビルドスペースでライブを行い、そこで出会った人たちとの交流の中で、塩竈への興味がどんどん湧いてきたという。「街の雰囲気はもちろんのこと、寒風沢島をはじめ浦戸諸島があるということをその時に教えてもらいました。同じ東北の中で、こんな街もあったんだなって新鮮に感じました」
語り継ぎのリーディングを通してやりたいこと。
青谷さんは、ライブだけではなく、ビルドスペースが行っている「語り継ぎのためのリーディング」にも参加した。1人1人が自分の方法で土地の物語を語り継ぐ「語り継ぎのためのリーディング」は、今を生きる私たちが時代時代の口承者となり、この土地の物語を自分事として捉え直し、次の世代へ私たちが生きた証を添えて引き継いでいこうという取り組み。
今回は千石船「若宮丸」の物語をテーマに歌をつくるワークショップだった。「その物語には、乗組員の人たちが、ロシアにわたって、イルクーツクで暮らした七年間。住居を与えられて何不自由なく暮らしていたということが書かれてありました。そこでロシア人になるということを選んだ人もいたほど、本当に不自由しない、いい暮らしをしていたんだなと思いました。
しかし、たぶんみんな本当は、地元である塩竈や石巻に『本当は帰りたいんだ』という思いを抱えていたんじゃないかなって感じたんです。そこで、イルクーツクにいる時のその一人の気持ちになって今回の『海よりも風よりも』の歌詞を考えたんです」
塩竈でのワークショップはいいきっかけその土地のストーリーを歌で伝えていきたい
今回のライブとワークショップは、まだまだおもしろいことができそうだという自分の可能性が広がったような気がしたと話す青谷さん。
「それぞれの地域に、昔話とか隠された歴史などが残されているんだなってわかったので、自分なりに足を運んでいろんな話を聞いて、それを掘り下げていって、歌なりなんなりにして、伝えていけたらいいなって思っています。また、島にもいろんな表情があるという話を聞いたので、浦戸の島々にも行ってみたいですね」
text:落合次郎 photo:喜多直人 取材日:2014年1月13日
プロフィール
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- 青谷 明日香(あおや あすか)
- 秋田県生まれ秋田県育ち。ピアノ弾き語りで活動中。 心の隙間に問いかける、懐かしい情景を歌い紡ぐ。 2003年に和風レゲエバンドminahを旗揚げし、全国津々浦々でライブ活動を展開。 3枚のCDをリリース。 並行して2006年よりピアノ弾き語りのソロ活動を開始。2009年にminjahは活動休止し、現在はソロに専念。 サポートミュージシャンを加えたり、単独だったりと、様々な形態でライブや録音を行っている。