クレオパンテール

今回お伺いしたのは、本町でチョコレート工房「クレオバンテール」を営む渡辺誠一さんです。今年の11月で一周年を迎えた「クレオバンテール」。オーナーシェフを務める渡辺さんは塩竈の「藻塩」を使ったチョコレートを作り続けてきました。塩竈に対してとても深いこだわりと、思い入れがある渡辺さんにお話を伺いました。

チョコレート屋さんも「農産物加工業」のひとつと気がついた

クレオパンテールフランスやドイツで菓子職人としてのスキルを磨き、仙台で洋菓子店を経営した後に、現在のチョコレート専門店を開くに至った渡辺さん。チョコレートをメインにお店を開こうとしたのは、チョコレートが十分な栄養をとることのできるスイーツだから。日本人には塩分が足りないといわれています。その塩分をどうやって採ればいいのか…渡辺さんが考え付いたのが、チョコレートでした。以来、渡辺さんは「美容と健康」をテーマにチョコレートを作り続けています。

「昔洋菓子のお店をやっていたんだけど、洋菓子屋というのは基本的に『農産物加工業』の部類に入るのですよ。お菓子って、穀物で言うと小麦粉、鶏卵、バター、お砂糖、それに野菜など使うでしょう。それで『農産物加工業』のなかでも、お菓子屋さんは一番おいしい食材を使ってやっているのだなって気付いたんです。もともと豆文化が非常に発達していた日本の中で、元をたどれば、カカオビーンズを使用しているチョコレート屋さんも『農産物加工業』のひとつなのだという事がわかりました。」

全国各地を歩き回り、塩竈の藻塩に出会いました。

クレオパンテール「菓子作りに必要な塩を求めて、秋田の男鹿半島から、淡路島の方まで、その地域で作っている塩を味見しながら回っていたんです。そのなかで塩竈に辿りつき、『頑晴れ塩竈』の存在を知り、お話を聞いていく中で、『この塩(藻塩)を使ってチョコレートを作ったら合うんじゃないかな』という考えが浮かびあがってきたんですね。その中でちょうど商工会議所の方々が、本町商店街の店舗を紹介してくれたんですよ。そこで現在の店舗でお店を始めることにしました。」

塩の神様を祭っている御釜神社の近くにお店があるということもあって、塩に導かれてやってきたと自負する渡辺さん。塩竈に店を構えてからお客さんに『なぜ塩竈にお店を出したのですか?』とよく聞かれるとのことですが、それには渡辺さんなりのこだわりがあったようです。

「私がチョコレートのお店を塩竈に出した理由というのは、都会だろうが、塩竈だろうが、レベルの差はない方がいいなと、文化の違いをなるべく無く、世界のトップレベルのチョコレートを塩竈で提供できたらいいなと思ったからなんです。自分は「おいしさに国境はない」と考えています。地方であっても都会であっても、食べるものは皆同じ様に食べてほしいですね。」

培った知識や技術を伝えていきたい

クレオパンテール今年11月で開店一周年を迎えた「クレオパンテール」。地元の人々の人気もさることながら、東京など遠方の地域からホームページを通じてチョコレートを買い求める方も多いそうです。

「今後の方針としては、若手が技術を継承して、独立するのを手伝いたいです。自らの知識や技術を伝えたいという思いもあるので、これまで蓄積してきたノウハウを提供できれば、残りの人生を楽しめるんじゃないかなと思います。また、継承するものと革新的に変革するものと、文化の発信源を、何かつくらないといけないんだと思います。塩竈は塩の文化が一番強い町だから、古い町の良い文化を未来に向けて変革していきたいですね。

text:小野智香 photo:大江玲司 取材日:2011年9月6日

プロフィール

クレオパンテール
  • チョコレート工房 クレオバンテール
  • 住所:宮城県塩竈市本町6-6
  • 電話:022-781-8301
  • 営業時間:9:30~18:00
  • 定休日:木曜、第1・第3日曜