爽やかな水色のウィンドブレーカーやビブスを身につけ、鹽竈神社や町の魅力を伝える「みなとしほがまボランティアガイド」。2014年にガイドデビューした鈴木博美さんに、ガイドとしての思いを聞いた。
大好きな塩竈の魅力を伝えることが務め
塩竈市で生まれ育った鈴木さん。信心深い祖母の影響もあり、幼い頃から鹽竈神社を訪れる機会が多かった。社会人になって仙台に暮らすようになってからも神社への思いは変わらず、月に一度は参拝していた。
「神社はもちろんですが、塩竈の町が私にとっては原点であり、パワースポットなんです。実家に帰ってくるような感覚ですかね。塩竈に来ると元気になれるし、晴れ晴れとした気持ちでまた頑張れる」。
仙台で働きながらも、塩竈の魅力をもっと広めたいとの思いを抱えてきた。そして、「ずっとやりたかった」というボランティアガイドについに応募したのは2014年の4月のこと。2ヶ月間の研修を経て、ボランティアガイドとして正式に認定を受けた。「ガイドになってから、塩竈の面白さをあらためて知り、さらに塩竈が好きになりました。大好きな町だから、その魅力を発信し、伝えていくことが自分の務めだと思います」
町の面白さが伝わっていくのを実感できる
鈴木さんの本業は、24時間対応のコールセンターのスタッフ。職場は仙台だ。深夜勤務も多く不規則な日常だが、空いた時間で月に5〜10回程度は塩竈に来て、ガイドや取材対応にあたる。「朝までの勤務が終わってそのまま塩竈に向かうことや、昼過ぎにガイドを終えて職場に向かうこともあります。睡眠不足が悩みですが、それでも塩竈に来るのが楽しみで仕方がないんです」
ガイドをしていると、塩竈の面白さが連鎖的に伝わっていくことがあると鈴木さんは言う。「私が一度ご案内した方が、次は知り合いを連れて私と同じルートで案内してくれたことがありました。うれしかったですね」。「みなとしほがまボランティアガイドの会」の中で若手の鈴木さんには、新たな役割も求められる。SNSなどを用いて新たなニーズを掘り起こすのもそのひとつだ。
「ツイッターを見て、まち歩きイベントに参加してくれた人もいます。最近では歴史や刀剣、着物に興味がある若い人が増えているので、そんな人たちにも塩竈の魅力をもっとアピールできたらと思っています」
さらなる魅力発信のあり方を探っていきたい
「みなとしほがまボランティアガイドの会」の先輩ガイドたちを、鈴木さんは師と仰ぐ。「塩竈の海のことなら何でも知っている人や、歴史について面白い話や資料をたくさん持っている人など、ガイドによってカラーや得意分野が違います。だからいろいろなガイドさんに話を聞くと本当におもしろいんですよ」
ちなみに鈴木さんは、主に担当している「塩竈まちかど博物館(※)」のほか、「神話や言い伝え」「塩竈の美味しいお店」が得意分野だ。「ガイドスタッフは男性が多いので、グルメやお買い物を中心にした女性向けの町歩きツアーもやってみたいですね」
今後は、個々のガイドスタッフの得意分野が引き立つようなツアーの企画や、近隣の市町村と連携した広域的な魅力発信のあり方も検討していきたいと話す鈴木さん。大好きな塩竈を知ってほしいという思いは尽きない。「今は仙台在住ですが、やっぱり私の原点は塩竈。だからいずれは塩竈に住みたいです。そしてずっと、塩竈の魅力を発信し続けられたら幸せですね」
※江戸末期〜明治初期の建造とされる「旧ゑびや旅館」に修復工事を施し、2016年4月に開館。
text:加藤貴伸 photo:大江玲司 取材日:2017年4月26日
プロフィール
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- 鈴木 博美(すずき ひろみ)
- 1976年塩竈市生まれ。24時間対応のコールセンターに勤める傍ら、「NPOみなとしほがまボランティアガイドの会」のスタッフとして観光ガイドおよび広報を担当。「NPOみなとしほがま」の活動についてはコチラを参照。