TAVERNA GIRO

塩竈市海岸通に店を構える、イタリアンレストラン『TAVERNA GIRO(タベルナ ジロ)』のオーナーシェフである古屋次朗さんは、京都生まれで仙台育ち。高校生の時に塩竈の友人を訪ねたのが塩竈初体験だそうだ。「当時、駅前にジャスコがあって、賑わっていましたね。港もあり神社もあり、異文化な町だな、というのが僕の第一印象でした」

塩竈の街の魅力をもっと引き出すために

TAVERNA GIROその次に古屋さんが塩竈と付き合いだすのは2003年ころ。当時、仙台のとあるイタリア料理店の立ち上げに関わり、プロデュース兼料理長を経験。その時に、海産物の仕入れを塩竈の仲卸市場で行っていた。「その日の直送で、自分で車を運転し運んでいました。

当時は塩竈に住んでいたので、知り合いになった東松島の牡蠣生産者の方たちと尾島町に飲みに行ったりしてましたね。そこでまた、漁師さんとも出会ったりして、新しいコネクションができるんですよ(笑)。人とつながる拠点が、塩竈でどんどん自然にできていったんですね

僕の学んできたイタリア料理を塩竈の方に知ってもらいたい

TAVERNA GIROその後、古屋さんは石垣島のホテルや著名な方が利用するホテルの料理長などの経験を経て、いよいよ独立。自分の店をかまえることになる。そこで選んだのがここ塩竈の街だった。

「塩竈には仕入れの基点があって人脈ができていたこともありますし、なにより、仙台で店をやるより、面白いことが出来そうだな、と思ったんです。あとは、塩竈という街を、もっと違う視点から発信できるかもしれないという思いもありました」

塩竈は「寿司の町」で有名。しかし、ここ塩竈にはたくさんいい食材が集まるのに、流通するのは寿司ネタの魚しか流通しない。「ご近所にあるフランス料理店のシェヌーさんも同感してくれるのですが、例えば七ヶ浜の定置網では、寿司には使わない小魚なんかもいっぱい採れているんです。寿司屋さんでは味わえないおいしい魚、魚料理もあるわけです。

他にもこんなおいしい食べ方があるんだよ、ということを紹介したいんですよ。そしてさらに、僕の学んできたイタリア料理を塩竈の方に知ってもらいたい。鴨や鹿、トリッパ(内臓系)など、コアなイタリア料理も紹介していきたいんです。浸透するまでは何年かかるかわかりませんが、そういう提案はずっとしていくつもりです」

新しい街ぐるみのイベント「塩コン部」を企画

TAVERNA GIRO『TAVERNA GIRO』も年が明ければ丸3年になる。東日本大震災でも大きな被害を蒙った。しかし、古屋さん、1995年の阪神淡路大震災の時も経験していた。

「僕が、ちょうど神戸のレストランに勤務していた時に、被災しました。その時の経験で【受け身になってはいけない】という教訓を得たんです」。今回の震災でもそれを思い出し、自分たちで率先して街づくりをしていく動きを始めたのだ。「お店も早く再開させていただいたし、町おこし的なイベントをしようと思いまして、街コンの塩竈版、「塩コン部」を企画したんです」

あまり背伸びをしないで、自分たちサイズで出来ることをということで企画し始めた「塩コン部」。塩竈には個性的で面白い店がけっこうあるが、一見さんお断り的な感じに見えて、初めての人は入りにくいという実情があった。「そこのきっかけづくりをやりたかったんですよね。一度、体験してもらえれば、絶対気にいってもらえる自信があるお店ばかりだから、まず、入店してもらうことを一番に考えました

この「塩コン部」は、一定料金で参加店のうち3軒を時間制で回れるシステム。今まで3回開催されたが、情報では4組ほどカップルが成立したそうである。「でも、2組ほどお別れになったみたい(笑)。でも、その後もお店にはお客さんとしてきてくれているので、それはうれしいことですよ。塩竈には素敵なお店がいっぱいあるので、ぜひ「塩コン部」に参加してみてくださいね(笑)」

大切なことを伝えるには、じぶんから動き出すことが大切

TAVERNA GIRO古屋さんは合わせて20年くらいは塩竈と関わっているが、20年前と今では、少し今の塩竈がさみしくなってしまっている印象はぬぐえないという。「これからはもう一度自分たちの力で塩竈を盛り上げたいですね。先を見据えて、自分で動いて行く。これが大事だと思っています。

現在、実際に進行中なのは、塩釜高校の生徒たちと、商店街のポップや看板などを作って、ストリートジャックしちゃおうという企画。「これまでは、高校生が作りました、で終わっちゃってたんだけど、そこにちゃんとプロが加わり、それなりのものにまで仕上げていくんです。さらにそれが出来上がっていくプロセスも彼らにきちんと見せていく、つまり教育ですね。教えてあげるのも大人の大切な役割だと思うんですよ。やってやりっぱなしのことではなくて、つなげていかなくては意味がない。そこは、地域の人の責任だと思うんですね」。

これからの塩竈を担うこども達に、何か希望を持たせてあげたい。それが積もり積もって、塩竈に戻ってくる子どもたちが増えたらうれしい、と古屋さんはいう。そして最後に「僕はここで生まれた人間ではないですが、もう自分の町だと思っています。自分の町はみんなが住みたい、楽しい、いい町だ、と思える町にしたいじゃないですか。次世代にも魅力のある町にね」と締めくくった。

text:落合次郎 photo:大江玲司 取材日:2012年11月20日

プロフィール

TAVERNA GIRO
  • TAVERNA GIRO(オーナーシェフ 古屋次朗さん)
  • 自家農園、無農薬野菜のハーブを使用。塩竈のイタリア料理、ピッツァ、パスタ、サラダ、アラカルト、ドルチェとメニュー充実。
  • 住所  :宮城県塩竈市海岸通8-10 【マップを見る
  • TEL/FAX:022-385-6609
  • アクセス:JR仙石線本塩釜駅 1番出口 徒歩1分
  • 駐車場:なし
  • メニュー:スパゲッティーニ(600円~)、ピッツァ(800円~)
         イタリアワイン(300円~)など
    *各種パーティープラン、飲み放題プラン、貸し切り(8名様より)、など、お気軽にご相談ください。

店内のようす

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