菅野政子

塩竈夢ミュージカルは、一般公募で集まった塩竈市民たちによる市民ミュージカルで、2014年2月で10年目を迎える。菅野政子さんは、自身が主宰する音楽教室やさまざまな音楽活動と並行しながら、この企画のプロデューサーを務めている。このミュージカルに対する思い、そして夢について話を伺った。

子どもたちに、『本物』を見て、聞いて、感じてほしい。

菅野政子2014年2月15日と16日の両日。塩竈市遊ホールにおいて開催される『塩竈夢ミュージカル』。この企画にプロデューサーとして2008年から参加している菅野政子さんは、市内でピアノやエレクトーンを指導する『菅野音楽教室』が本業。

「技術を磨くことは重要だけれども、それ以上に感性を磨かなくてはいけない。そのためには『本物』を見ることが大切なんです」エレクトーンなどはバイオリンの音やフルートの音が再現できるが、エレクトーンの音でそう思われることが、ある意味怖いと思ったそうだ。「だから、私の出来る範囲で、東京から音楽家を呼んだりして、実際目の前で本物の音を聞いていただこうという思いが、今行っている活動の根っこにあると思うんです」

音楽に懸ける思いだけが私を突き動かしてくれるパワー。

菅野政子その後、劇団四季ミュージカルで「ユタと不思議な仲間たち」を見て感銘を受け、塩竈の子どもたちに見せたいと思うようになった。「クラシックもミュージカルもそうなんですが、お母さんたちって『うちの子供たちはわかんないからぁ~』って、よく言うんですが、生で見たこと聞いたことが、大人になった時に思い出して、もう一度聞いてみようと思ってもらえるだけでもいいんじゃないかって思うんですね。

本物を聞く、本物を見る価値って、子供の成長にはすごく大事なことだと思います。その部分を教室でもミュージカルも大事にしていきたいと思っているんです」

塩竈夢ミュージカルは、毎回オリジナル脚本・楽曲で制作されている。2008年から劇団IQ150の主宰丹野久美子さんの作・演出、只野展也さんが音楽監督を務めている。「プロデューサーなんて肩書を背負ってますが、私はミュージカルなんて全くの素人。もう本当に手探り状態、いまだに手探りです(笑)でも、とにかく本物に触れてほしい、その思いだけでやってこれたと思います」

強い思いがあれば、どんな夢でも叶いそうな気がします。

菅野政子今年のミュージカルのタイトルは「ヒトリという名の鳥は、淋しいと鳴く」生命のつながりを通して、心のふるさとを感じてもらうことをテーマにしている。

「現在、絆という言葉がよく使われていますが、どんなものにだって生命がある。そしてその命はつながっているんだよということ。さらに人間、地域、日本、地球、そして宇宙までそれはつながっているんだよっていうことを伝えたい。塩竈のみなさまや被災した方々の心の復興のお役にたてたらうれしいですね」

ミュージカルには、市民から公募した約60名のキャストが参加する。小学生から大人まで、ひとつの目標に向けて一生懸命頑張る姿に、菅野さんは毎年感動するという。

今後の夢は大きいのですが、他の街の会場でもやりたいですね。それが塩竈の宣伝にもなると思うし。一市民ミュージカルの域は絶対超えていると思いますから、絶対成功するという自信はあります。できたらブロードウェイでやりたい!オフブロードウェイでもいいから(笑)。願っていれば、いつかはやれるかもしれないって思うことも大事よね(笑)」

text:落合次郎 photo:佐藤紘一郎 取材日:2014年1月27日

プロフィール

菅野政子
  • 菅野 政子(かんの まさこ)
  • 1956年塩竈市生まれ。菅野音楽教室主宰。南町で「音楽嫌いを作らない」をモットーに、子どもから大人まで幅広い年齢にピアノやエレクトーンを指導。トーンチャイムサークル「Shizune」「塩竈シニアトーンチャイムサークル」の指導も行う。1991年から塩竈の文化向上を願い啓蒙的に音楽活動を始めた。夢ミュージカル以前にも市民参加型のコンサートを企画開催している。全日本楽器指導者協会、全日本幼児音楽指導研究会会員
  • 塩竈市遊ホール市民参加企画 塩竈夢ミュージカル十周年記念公演
  • 「ヒトリという名の鳥は、淋しいと鳴く」
  • お問合せ:塩竈市遊ホール協会TEL 022-365-5000